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囚われの城
第6章 母親の運命
瑠菜は拳を握りしめた。
目の前の現実を受け入れようと、何度も何度も考えた。
自分がここに来たから母親は助かったんじゃなかったの?
やはり日向は、金になるものを全て吸い尽くす人間なんだろうか。
しかし母親は自分を売ったのだ。
男好きの母親に、天罰が下ったとでも思えるはずだ。
「混乱しているようですね。見せたかったのはこれだけです。戻りましょうか」
楽しそうに笑う日向。
瑠菜は慶子の叫び声の中で、頭の中を整理するのでいっぱいいっぱいだ。
日向は鉄の扉を開け、瑠菜が出るのを待つ。
瑠菜は慶子を横目で見ながら、扉を出て下を向いた。
この感情は、なんて言えばいいのだろう。
「おや、これまた面白いことに」
「……日向?」
振り向くと日向は前を見据えて笑った。
瑠菜が正面を向くと、拷の間の扉から汗だくで出てきた龍の姿があった。
龍の目は鋭く、日向を見据えた。
え……?
なんで龍がここに……?
「おや、しつけですか?」
「……」
「それとも、自分の性処理ですか?」
「うるせぇ!」
龍は荒々しい口調で日向を怒鳴り付け、肌に張り付く白いTシャツで汗を拭う。
日向を睨み付け、龍は先に出ていってしまった。
自分の性処理?
龍が……?
しかも、拷の間で……?
瑠菜の動揺を嘲笑い、この状況をまるで楽しんでいるかのような日向の表情。
玄関ホールに抜ける扉を閉めると、日向はお邪魔しましたとにっこり微笑み、屋敷を出た。
いろんなことがいっぺんにありすぎる。
母親がいたかと思えば、目の前で叫び、娘がいることも知らずに醜態をさらしていた。
そして拷の間から汗だくで出てきた龍。
日向は一体、なにがしたいのだろう。
なぜあんなにも、人が嫌がることを楽しそうにしているのだろう。
ーーその答えを知るのは、もっと先のことだった。