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囚われの城
第6章 母親の運命

え?

どういうこと?

死者が出たって……。


瑠菜は頭の中が真っ白になった。

ミカンの居場所がわからないのは、もしかして犠牲者の中にミカンがいるということ?


性的な仕打ちを我慢すれば命はあると思っていた今までの気持ち。

それを今回、打ち砕かれた。

ただ耐えるだけではダメなんだ。

客を喜ばせなければ、商品としてのランクは下がる。

そうすると雑に扱われ、壊れるまで弄ばれ、命の価値は下がり、命を落とすような危険な玩具にされる。


瑠菜の足が震えた。

その日の夜は眠れなかった。



「瑠菜、ちょっといいか」



翌日、瑠菜は黎明に呼び出された。

玄関ホールに行くと、黎明は瑠菜が付いてくることを確認し、鉄の扉に近付いていく。

日向に連れていかれたあの扉。

産みの親である母親がいる扉。

扉の向こうに何があるか知っている今、その扉には近付きたくないという思いが強まる。


「早く来い」


それでも、主の言うことは絶対だった。

瑠菜が立ち止まりたくても、それを主は許さない。

心臓が破裂しそうな程大きく鼓動した。


黎明が迷うことなく進んで行ったのは、母親のいる畜の間の扉だった。

扉を開けるなり生々しい女の臭いと、快楽に身を任せた自分勝手な喘ぎ声。

それは確実に、母親のものだった。


「この女にははじめ、性欲活性剤を投与した。普通の女なら3か月毎日3回ずつ投与して、やっと手なづけられる。しかしこの女はたった5回だ」


母親の檻の前で、黎明は低い声で言った。

母親に特別な器具は付けられていないようだった。

しかし、檻の中で目を見開き、よだれを垂れ流し、檻の間から黎明に手を伸ばしながら叫び続ける母親は、異常だった。


「こいつの初体験はお前と同じ年の頃だったそうだ。どこの誰とも知らないオヤジに、たった5000円で処女を売った」

「……え」

「それから援交を繰り返し、快楽を覚え、オヤジたちからもらった金で若い男を買った。お前を身籠る前にも、こいつは何度か妊娠している」

「そう……ですか……」

「なんでお前を生んだかはわからねえが、出産後は子供ができないように手術をしたらしい」



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