この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
囚われの城
第6章 母親の運命
え?
どういうこと?
死者が出たって……。
瑠菜は頭の中が真っ白になった。
ミカンの居場所がわからないのは、もしかして犠牲者の中にミカンがいるということ?
性的な仕打ちを我慢すれば命はあると思っていた今までの気持ち。
それを今回、打ち砕かれた。
ただ耐えるだけではダメなんだ。
客を喜ばせなければ、商品としてのランクは下がる。
そうすると雑に扱われ、壊れるまで弄ばれ、命の価値は下がり、命を落とすような危険な玩具にされる。
瑠菜の足が震えた。
その日の夜は眠れなかった。
「瑠菜、ちょっといいか」
翌日、瑠菜は黎明に呼び出された。
玄関ホールに行くと、黎明は瑠菜が付いてくることを確認し、鉄の扉に近付いていく。
日向に連れていかれたあの扉。
産みの親である母親がいる扉。
扉の向こうに何があるか知っている今、その扉には近付きたくないという思いが強まる。
「早く来い」
それでも、主の言うことは絶対だった。
瑠菜が立ち止まりたくても、それを主は許さない。
心臓が破裂しそうな程大きく鼓動した。
黎明が迷うことなく進んで行ったのは、母親のいる畜の間の扉だった。
扉を開けるなり生々しい女の臭いと、快楽に身を任せた自分勝手な喘ぎ声。
それは確実に、母親のものだった。
「この女にははじめ、性欲活性剤を投与した。普通の女なら3か月毎日3回ずつ投与して、やっと手なづけられる。しかしこの女はたった5回だ」
母親の檻の前で、黎明は低い声で言った。
母親に特別な器具は付けられていないようだった。
しかし、檻の中で目を見開き、よだれを垂れ流し、檻の間から黎明に手を伸ばしながら叫び続ける母親は、異常だった。
「こいつの初体験はお前と同じ年の頃だったそうだ。どこの誰とも知らないオヤジに、たった5000円で処女を売った」
「……え」
「それから援交を繰り返し、快楽を覚え、オヤジたちからもらった金で若い男を買った。お前を身籠る前にも、こいつは何度か妊娠している」
「そう……ですか……」
「なんでお前を生んだかはわからねえが、出産後は子供ができないように手術をしたらしい」