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囚われの城
第7章 ―――ミカンの見た世界
ろくに睡眠もとらせてもらえず、ぼんやりした頭で考える。
あたしは絶対に、あの人と交わりたくない。
隣のメイドはショックを受けすぎていて、聞こえるか聞こえないかくらいの声で『死にたい』とつぶやいている。
その隣のメイドは恐怖で震え、その隣の子はずっと唇を噛み締めている。
ユイさんは?
あたしたちが苦しんでいるときも、ユイさんは見ているだけだった。
胃がひっくり返りそうな食事のときも、ユイさんは普通の食事をしていた。
なんで……?
なんであたしたちだけ苦しまなきゃいけないの?
あたしの中で歪んだ気持ちがうまれた。
『ユイさんがいいと思います』
『ユイ?ユイって、こいつ?』
『はい』
『そう。じゃあ、ユイに一票。お前は?』
ユイさんは、あたしのことを驚いた表情で見つめていた。
目を合わせることができなかった。
あたしの隣のメイドは、小さな声でユイさんの名を呟く。
その横のメイドは、間髪を入れず即答でユイさんを指名した。
『あんたがやればいいのよ!どうしてあたしたちだけ苦しまなきゃいけないの…不公平よ!』
そう叫んだのは、唇を噛み締めていたメイド。
『くくく……じゃあ、あんたの意見を聞くまでもなく決定だな』