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囚われの城
第9章 変化する気持ち

龍は城の庭に停めてあった、車高の低い黒のセダンに乗り込み、エンジンをかける。
瑠菜が助手席に乗るのを確認すると、車はゆっくり動き出した。
大きくて頑丈そうな城の門が自動で開き、車が一台抜けると勝手に閉まった。
「いろんな手続きはこれからやらなきゃいけないんだ。でもとりあえず、俺と瑠菜ちゃんは親なしの従兄弟ってことになると思う」
「そう、ですか…」
「学校は、本来進学するはずだった公立の中学になるよ。私立からの転校っていう名目で」
龍は淡々とこれからのことについて説明する。
住むところは黎明が用意したマンション。
黎明が用意したと言っても、一般の人も住んでいて、カメラなんかはついていない。
黎明はこれから瑠菜に一切干渉しない。
今の今まで「性」と癒着していた瑠菜は、まだそれらの事実を信じていいのか悩んでいた。
「ここのマンションが、瑠菜ちゃんと俺の新しい家だよ」
そこは、4階建ての綺麗な建物だった。
いかにも高級な黎明の城とは違い、綺麗だけど嫌味のないマンションだった。
龍が前を歩き、瑠菜は後ろをついて行く。
どうやら部屋は一階の角部屋らしい。
「2LDKだから瑠菜ちゃんの部屋もあるよ」
龍がドアを開ける。
フローリングがピカピカで、家具はソファとテーブルだけ。
二つある個室には、それぞれローベッドが置いてあった。
「この辺の土地は、瑠菜ちゃんが小さい頃から馴染みのある土地なの?」
「はい。逆に言うと、あたしはこの街しか知りません」
「そう。じゃあ今度は俺が教わる番だね。いろいろ教えて。スーパーはどこがいいとか」
龍は瑠菜にニッコリ微笑んだ。

