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囚われの城
第9章 変化する気持ち
翌日、瑠菜は中学生として学校へ行った。
早めに学校に着いた瑠菜は職員室で先生と会い、担任と一緒に教室へ向かった。
ドキドキする…。
挨拶って、なんて言えばいいのかな…。
「席につけー。ホームルーム始めるぞー」
担任がためらいなくドアを開け、騒がしい教室に響き渡る程声を張り上げた。
「まず転校生を紹介します。杉浦瑠菜さん。名門私立からご両親の都合で転入してきました」
「すっ、杉浦瑠菜です。よろしくお願いします」
瑠菜は深く頭を下げる。
「じゃあ杉浦は、そこの菊池の横な」
担任に指さされた空席は、小さい頃から友達のユズの隣だった。
少し大人びたユズの顔を見て、瑠菜は少しほっとした。
「久しぶり、瑠菜!卒業式からパッタリと姿見えなくなって、どーしたのかなーって思ってたんだよ!」
ユズは明るくて可愛らしい女の子だ。
同じクラスに親友がいてよかった…。
瑠菜は懐かしさを噛み締めながら、休み時間やお昼休みにユズと話した。
「部活はやるの?」
「どうしよう…」
「あたしサッカー部のマネやってるんだ」
「そうなの?」
「うん。あ、そうだ。サッカー部には、あの人がいるよ!ほら、瑠菜がずっと好きだった紫苑先輩!」
ユズは丸い目を輝かせて瑠菜の肩をバシバシ叩いた。
家が近所で、小さい頃から好きだった紫苑。
頭はあまり良くないけど、サッカーが大好きで、ルールは瑠菜にはわからなかったけど、プレイしている姿がかっこよかった。
瑠菜のひとつ上の先輩だ。
「ねぇ、放課後グラウンドに来てみなよ!話しかけるチャンスあるかもよ!」
「いっ、いいよ!あたしは別に…遠くから見られればそれで満足だし…」
「あたしの好きな人もサッカー部なの。その人、瑠菜にも見て欲しいから!」
ユズに迫られ、瑠菜は放課後にサッカー部の活動するグラウンドに行くことになった。