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囚われの城
第9章 変化する気持ち
日向はあまり話したくないように、サラについて話し始める。
2年前、日向は目的の少女を屋敷に売り込むため、この学校に何度か足を運んでいた。
そこで見たのは、龍がサラに声をかけ、親しげに話している姿。
「龍が笑う姿など見たくありません。目が腐る」
日向は無表情で口の端を釣り上げ、あざ笑うかのように冷たく吐き捨てた。
目的の少女を屋敷に送り込み、日向は龍と話していたサラについて調べ上げた。
父親は大手企業の社長、母親は裕福な家庭の出で、世間知らずなお嬢様。
そんな家庭を壊すのは簡単だった。
父親には「奥さんが若い男に入れ込んでいる」と話し、母親には「旦那さんには若い愛人がいてあなたと離婚したがっている」とホラを吹いた。
あっけなく二人は離婚し、それぞれに「離婚相手に金を貸していた」と莫大な金を要求。
いくら金持ちとはいえ、払える金額ではないのでそこへ日向が出て行き、金を貸し付ける。
「あとは瑠菜さんと同じ要領です」
「…ひどい」
「ふっ。酷いのはどちらでしょうね。あの女はこの私を脅してきました。龍に屋敷のことを聞いた、世間に公表してやる、と」
学校に何度か足を運び、龍とも話していた日向を、サラは知っていた。
しかしその脅しは、日向には通じなかった。
日向は桐原財閥の人間ではないから。
あくまでも日向の取引先が桐原財閥なのだ。
「あれは相当好きですよ。命令していないのに自分から股を開くのですから」
「…でも、龍さんが気に入っているならそっとしておけばよかったじゃないですか。無理やり理由をつけて屋敷に落とすなんて…」
「龍が気に入っているから、落としたのですよ」
日向の目が鋭く光った。
瑠菜はそれ以上、サラの話には触れないことにした。