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17歳の落書き
第2章 藤田先生と千晴の結婚生活 ~久しぶりのデート~
「惺、急ぐよ!バス来ちゃうから!」
「だって、まだおくつはけてないもん~」

私は腕時計を確認して、惺の水筒と幼稚園のバッグを持って、惺の頭に帽子をかぶせた。
もうすぐ惺の通う幼稚園バスが、マンション下まで迎えにきてくれる時間だ。

「パパはぁ?パパおしごとおやすみでしょ?」
「もうちょっと寝かせてあげたいの。お迎えには一緒に行くから。ほら、早くっ」

私は、惺の小さな手を引いて、エレベーターまで向かった。


エントランスを出て、道路の手前にある小さなマンションの広場へ歩いてゆく。
秋が深まり、銀杏の黄色い葉が少し落ちている。バスはまだ来ていなかった。

「ふー。よかった……」

こんなギリギリの行動、先生が起きてたら怒られてたことだろう……。
惺の教育に悪すぎるよね……反省です。



「あっ、パパ!」
「え?」

惺が、まぶしげにマンションの上階を見上げ、ぴょんぴょん跳ねて手を振る。
私も同じように、太陽の光を避けながら見上げると、ベランダに出ている先生の姿があった。

「いってきます、パパー!」

先生の表情はよく見えないけど、小さな息子の登園姿を見て手を振っている。
寝かせてあげようと思ってたのに、起きてたんだ。
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