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優しいヒトに虐められてます。
第8章 下ネタしりとり
ハルが大津川に返信した直後のこと。
「なにニヤニヤしてんのー」
不意に、ユカがからかうような口調で言ってきた。

ユカはこの前、ハルが股間にローターを挿入して
外を出歩いていたことを、超人的な聴覚で看破した変人だが
そのことについては、あれ以来触れてこない。

ハルのプライベートに必要以上に踏み込んでこない優しさ
(もしくは無関心さ)に免じて、あの時股間を蹴って
事態を急転させた罪は許してあげることにしていた。

「え、私ニヤニヤしてた?」
ハルは慌てて口元を引き締めた。

「なんかエロい感じにニヤニヤしてたで」
「そういえば、一人でニヤニヤする人はエロい
みたいな噂、前に流行ったよね~。
あれ、思い出し笑い、だっけ?」
「ちょっと、やめてよ二人とも」
笑って受け流す。

なんとなく自覚していた気がする。
彼からたった一文のメールが来ただけでも
嬉しくなってしまうくらいだ。
口元がほころんでいてもおかしくない。

とにかく、明日は数日ぶりに彼に会える。
あの晩は激しく体力を消耗したので
数日は身体を休めた方がいいと言われていた。

優しい心遣いは嬉しいものの、その実身体はとっくに
全快していて、早く彼に会いたくてたまらなかった。

ハルは友人たちと共に席を立ち
浮き浮きとした足取りで食堂を後にした。
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