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第9章 ここは猫カフェだから

大津川が帰った後で、ハルは勇気を振り絞ってチエミに電話をかけた。
『もしもし』
「チエミ……」

『ハル、さっきは本当にごめんね……盗み聞きなんかしちゃいけないって
わかってたんだけど……なんか好奇心を止められなくて……』
「ううん。こっちこそごめんね。変なの聞かせちゃって……」

『ふふっ。あれって、ハルの趣味なの？　それとも彼氏さんの趣味？』
「彼……？　いや――あ」

今、大津川のことを彼氏じゃないと言うと
何だかかなりややこしいことになりそうな気がした。
大津川には悪いが、ここは否定はしない方向にさせていただく。

『ん？』
「あ、えっと、彼の方の趣味、かな」

『ふふっ、やっぱり。でも、ハルも満更でもなかったんでしょ？』
「そっ、それは……」
どうせ否定したところで無駄だろう。

「まあ、ちょっと……スリルも……あって……」
恥ずかしさで語尾が消えていく。
『うふふ。すごかったね～、羨ましいくらいに乱れてた』
「ぐっ……ぅ……ぁ……ぃゃ……」
恥ずかしすぎて返しが何も出ない。

『最初はほんとに猫カフェかと思ったな～』
「あ、猫……そうっ、ほんとは猫カフェだったの！
ほんとに！」
『……』

「……」
『……』

「……嘘ですごめんなさい」