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優しいヒトに虐められてます。
第13章 雨と美術館
サイレンの音で、トウキは目を覚ました。
真っ暗な部屋の中、パソコンの薄明かりだけが
青白く壁を照らしている。

思考が停止したのはほんの一瞬のことだった。
すぐにベッドを起き出し、パソコンのサイレンの音も無視して
寝間着にしていた部屋着の上からジャケットを羽織った。
スマホと車のキーを机の上からひったくる。

部屋を出て玄関で靴をつっかけ
外へ出ると、瞬時に鍵をかけて駐車場へ。
車に乗り込み、濡れた身体を拭く暇も惜しんで
エンジンをかけた。

スマホを見やすい位置に置く。
画面には、すでに縮尺の大きな地図が映され
赤い丸が点滅している場所を目指してアクセルを踏んだ。

「故障」する確率は、万が一よりも
遥かに低い確率のはずだったんだけどな。

頼むから無事でいてくれ、ハル……
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