この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
優しいヒトに虐められてます。
第13章 雨と美術館
急に力が抜け、身体に空気がこすれる感覚。
あれ、私、倒れてる……?
どん、と二つの物体が床に落下するような音。
一つはハル、もう一つは……
古田くんも……倒れた?
訳が分からなかったが、ハルは幸か不幸か
胸を隠すように古田に背を向けていた。
胸はこれ以上古田に見られないらしいが
背後の彼の状態を確認できないのは恐ろしかった。
どうやら彼もハル同様動けないらしく
呻くような声を上げている。
こんな屋内でどちらも動けないというのは
時間を稼ぐだけの気休めにしかならなかった。
古田の方が早く回復してしまえば、恐怖の時は再開される。
その間、ずっと恐ろしさに緊張していなければならない。
今の、何だったんだろう……
身体に強い静電気みたいなのが流れた気がする。
バングルが、真っ黒に染まっていた。
――ガチャリ。
その音がするまで、時間的には短かったのはわかっていたが
ハルの体感的には途方もなく長かった。
ドアの開く音。
外の雨音がより大きく室内に入ってくる。
そして、ハルの待ちわびていた声が、やっと聞こえた。
「ハル」
やっぱり、トウキくんが守ってくれたんだね……
あれ、私、倒れてる……?
どん、と二つの物体が床に落下するような音。
一つはハル、もう一つは……
古田くんも……倒れた?
訳が分からなかったが、ハルは幸か不幸か
胸を隠すように古田に背を向けていた。
胸はこれ以上古田に見られないらしいが
背後の彼の状態を確認できないのは恐ろしかった。
どうやら彼もハル同様動けないらしく
呻くような声を上げている。
こんな屋内でどちらも動けないというのは
時間を稼ぐだけの気休めにしかならなかった。
古田の方が早く回復してしまえば、恐怖の時は再開される。
その間、ずっと恐ろしさに緊張していなければならない。
今の、何だったんだろう……
身体に強い静電気みたいなのが流れた気がする。
バングルが、真っ黒に染まっていた。
――ガチャリ。
その音がするまで、時間的には短かったのはわかっていたが
ハルの体感的には途方もなく長かった。
ドアの開く音。
外の雨音がより大きく室内に入ってくる。
そして、ハルの待ちわびていた声が、やっと聞こえた。
「ハル」
やっぱり、トウキくんが守ってくれたんだね……