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優しいヒトに虐められてます。
第15章 彼のとっておき、そして・・・
チサトとナホの予約が入っている時間の30分前に
芹沢は黒いリュックを背負って裏口から事務室に入った。
数人のスタッフが事務処理をしたり
倉庫の備品を整理したりしている。

芹沢がリュックを自分の机に置いたところで
赤石が声をかけてきた。
「お前、いつも何でそんなリュック背負ってるんだ?
仕事に必要なものでこっちにないものあるのか?」
「俺、たまにしか家に帰らない派だから。着替えとか
歯ブラシとかいろいろこれに入れてんだよ」

赤石が眉をしかめた。
「接客業なんだから身なりは清潔にしておけよ」
「一度着た服とかはさすがにビニールに入れて分けてるっつの」
ほら、と言ってリュックの中を見せる。
「いや、脱いだ服はすぐに選択しろよな……ん?
それなんだ? 整髪料か何かか?」

芹沢は自分でも覗き込んだ。
黒いラベルのボトル。
「あ」
「ん?」
「いや、これはまあ……あれだな、最近手持ちのセフレに
使うために買ったいわゆる媚薬ってやつだ」
芹沢は少し悩んだ結果、結局素直に言った。
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