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優しいヒトに虐められてます。
第16章 彼の秘密
「フフ。やっと思い出してくれた?」
「いつも机で真剣に何か弄ってるから
何をそんなに真剣になってるんだろうって
ずっと気になってたんだよね~」
「やっぱり好奇心だったか。ハルっぽいね」
「あんなかわいい顔した男の子が
こんなひねくれた大人になっちゃうなんて……」
「っ……子供の頃の顔は忘れてくれ」
「あっ、照れてるの?」

ほんのり頬を染めた大津川は横を向いた。
「とにかく! そんなこんなで、僕は
ハルに何かお礼をしようと考えていたんだ。
でも……ハルは2学期には転校していなくなった」
「うち、転勤族だったからね……」

「それからも、ハルのことはたびたび考えてたよ。
中学に上がっても、高校に上がっても、もし再開したら
何かお礼をしよう、って」
「待って。私が転校した後のトウキくんはどうなったの?」
「ハルの仲介なしでうまくやれるわけないでしょ。
すぐに元通りだよ。まあ、バカにされることはあまりなかったけど
話しかけられることもなくなったよ」
「あらら……」

「んで、大学で見かけて今に至る、と」
「よく私だってわかったね」
「大人になったらどんな顔してるかなーって
いくつか想像した顔があって、その中の一つに
ピッタリ当てはまってたんだよ」
「……だ、だいぶ変態ダネ……」
引き気味のハルに、大津川が露骨に嫌そうな顔をする。

「まあ、これで僕がハルに今回のバイトを持ち掛けた
理由はわかったね。要は恩返しのつもりだったんだ」
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