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優しいヒトに虐められてます。
第17章 恋人
大津川との淫らな行いを断ち切った
禁欲恋人生活(仮)は、ハルが思っていた以上に
新鮮な日々だった。

最初はハルの方からデートに誘う勇気が出なかったが
彼が気楽に誘ってくれるので、次第にハルも
「今度あそこへ行かない?」と誘えるようになった。

デートの日までの待ち遠しさや
彼と別れた後の虚無感
夜、彼との恋がいつまで続くか不安に思う気持ち。

まるで少女漫画のヒロインのような経験だった。

恋人としての彼への気持ちと、今までの彼への恋心は
ちょっと違うのだと知って少し驚いた。
こちらの方がチョコレートのようにべたべたに甘くて
そしてやはりチョコレートのようにほろ苦い。

大学でも顔を合わせるようになったので
チエミとユカに紹介もした。
彼の顔の良さに驚いたのか、それとも
ハルがこういう男と付き合っている事実が新鮮だったのか
二人は見たこともないほど目を丸くした。

彼はハルの友人には愛想よく接してくれたが
やはり親しい友人を作る気はないようだった。

それを知ってからは、彼が構内を一人ウロウロしているのを見ても
不憫に思うことはなくなった。
むしろ仲間に絡まれて迷惑そうにしている時こそ
不憫に感じた。
あんなに嫌そうな顔してるのに絡まれ続けて
かわいそうだな、と。

ちなみに、彼は忘れていたように事務所が
彼の「自宅」であることを打ち明けたが
ハルが知っていたと告げると
素っ頓狂なまでに驚いた。

ハルの方も、まさか彼が今までまったくバレてないと
思っていたらしいことに、素っ頓狂に驚いた。
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