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優しいヒトに虐められてます。
第17章 恋人
結局、1時間浸かってしまった。
パジャマを着て髪を乾かし終えた時には
すでに11時40分を過ぎていた。

水を飲みにキッチンへ向かう。
彼はソファで黙々と本を読んでいた。
テレビは消してある。
ハルと一緒の時はテレビも見るが、一人の時は
見ないことも多い。

以前聞いたことがあるが、テレビには単に興味がないだけで
興味が湧く条件はハルが一緒に見ることだけだという。
こういうところが一匹オオカミっぽい。

知的で優しくて、孤高の存在で、そしてドS。

読書に集中していて、ハルが出たことに気付いていない様子だった。
「洗面所、空きましたよー」

ビクッ、と身体を震わせてハルの方を見る。
先ほどの自分もこんな感じだったのだろうか、と
まるで鏡を見ている気分になる。

「うわっ、全然気づかなかった。
ありがと。んじゃ、歯磨きでもしようかな」
「あ、私もするー!」

ハルは少しムシムシした洗面所で彼と鏡の前に並び
シャコシャコ歯磨きした。
最近は一緒に歯磨きをし、そのまま電気を全部消して寝るのが
ハルたちの文化として定着しかけている。
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