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Quattro stagioni
第3章 リングサイズ調査作戦

「見て。かわいい?」

左手を掲げて微笑む姿はもちろん、かわいい。ネイルを塗るのは諦めて小瓶はローテーブルの上に置いた。悔しさを胸にぎゅうっと抱き締めると、どうしたの、と笑い声。

「かわいいです」
「ね、これ、かわいいね」

そうじゃない。帰宅したばかりのときの鋭さはどこへ行ってしまったのか。溜め息交じりに彼女の後頭部を撫でると腕が背中へと回ってくる。俺の腕の中ですりすりと頬を寄せてくる志保さんは外での姿とは打って変わって幼くなる。この姿は、きっと俺しか知らない。

「……充電終わった?」
「もうちょっとだけ」
「しょうがないな。もうちょっとしたらネイル塗ってね」
「綺麗に仕上げます」
「お願いします」

抱き締めたままソファーへ倒れ込んだ。背もたれに志保さんの身体を押し付けるようにしながら、彼女の両足の間に足を滑り込ませるといやらしく足を絡めてくる。

「誘ってるんですか?」
「藤くんでしょ」
「俺は誘ってないですよ」
「そんなこと言いながらなんで服の中に手を入れてるんですか」
「それは、あなたがかわいいから」

脇腹をきゅっと抓んで、額にキス。嫌そうに身体を押されたが、逃がしてなんかやらない。倒れ込んだばかりだったけれど、ソファーから立ち上がった。きょとんとする彼女を抱き上げると短い悲鳴をあげつつも俺の首に腕を回してくる。

「ネイル、明日塗りますから」
「…約束だよ」
「もちろん」

寝室のベッドに志保さんを下ろして、左手からシリコンの飾りを抜き取る。こいつめ。先にこの薬指に納まるなんて。けど、ナイスアシストだ。失くすわけにはいかない。ズボンのポケットに隠すように押し込んだ。

キスをねだる志保さんの唇を貪って、手は服の中へ。小ぶりな乳房の中央の尖りは既にぴんと張りつめて俺が触れるのを待っているみたいだ。

愛しい人。贈る指輪はもう選んである。誕生石のムーンストーンをあしらったリング。それが彼女の指に嵌まった様に思いを馳せる。とりあえず、明日もう一度津田にお礼の大きなフラペチーノを買うことにしよう。



Fin☆
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