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Quattro stagioni
第5章 ♡ call my name
今になって思えば、お風呂さえ広ければリビングダイニングや寝室は別に広くなくたって良かったのかもしれない。空いた6帖の部屋は客室という体だが、ぶっちゃけると物置部屋同然で、どちらかが風邪を引いた場合の避難部屋と化している。
それに、部屋にいたって相変わらず藤くんはゼロ距離だ。休日に私がラグに寝そべって本を読んでいれば、隣にぴたりとくっついて横になるし、ソファーに座っていれば隣に座るか、強引に私を自分の足の上に乗せる。
ベッドは藤くんがこだわって大きなものを選んだけれど、彼はいつだって私を抱き締めて眠っている。腕が痺れないのかと聞けば、コツがあるから痺れないし、私を抱いている方がよく眠れるらしい。
「志保さん、入りますよ」
「え!ちょ、待って!」
「無理です」
「こら!」
風呂場でこの1年の暮らしや日々のことを思い返しながらのんびり身体を洗っていたが、ふと響いた声に慌てふためく。近頃、私が一番…いや、二番目に手を焼いているのは私の入浴中に乗り込んでくる藤くんである。
待ってよ、と言う声を無視してにやにや笑いながら入ってきた藤くんはもちろんのこと全裸だ。泡まみれの私の身体を凝視して既に下半身を反応させている。
「もう…一緒にお風呂入るのは週末って約束でしょ」
「そうでしたっけ?」
そうだろう。毎日一緒に入りたいと言った藤くんを甘やかして、引っ越し当初は一緒に入っていた。だが、共に湯船につかれば藤くんは私の身体を弄ぶし、その後セックスをする。速やかにベッドに移動することの方が稀で、大体は私がイき疲れるまで湯船の中で私をいじめる。
自宅の風呂で逆上せる日々が続き、怒った私は一緒にお風呂に入るのは週末だけ!と彼に約束をさせた。子犬顔で分かりましたと了承した筈が、数か月も経てば藤くんは余裕でその約束を無視するようになった。
とは言え、私が何故怒ったのかはちゃんと分かっているようで逆上せるまでの悪戯はしなくなったのでまあ良いと言えば良いのだが、それを言うと恐らく調子に乗るので言わないつもりだ。