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Quattro stagioni
第5章 ♡ call my name

じと目で藤くんを見やりながら泡を流し、先に湯船に入る。音程のずれた鼻歌交じりに身体を洗い出す藤くん。広い背中とハリのあるお尻。

若いのに酒を控えて、休日はフットサルやらバスケやらとにかくスポーツに繰り出すようになったからなのか彼の身体はしなやかに筋肉が鍛えられ、美しさを増しているように思う。

さっと身体を洗い終えた藤くんはにやけた顔を隠す素振りもなくざぶんと湯船に入ってくる。膝を抱えて小さくなる私を正面から抱き寄せて、まずは額にキス。当然それでは止まらず、頬、唇と彼のそれは触れていく。

「はい、上、乗ってください」

湯船の中で伸ばした藤くんの足を跨ぐ。首に腕を回して抱き着くと、勝手に風呂に乗り込んできて上に乗れと言ったくせに胸を押し付けるなという。

「今日、あいつとなに喋ってたんですか?」
「あいつって?」
「清水ですよ。なんか、距離近くなかったですか」
「…ああ、ケンシローくんね」

私は5月に中途採用でありながら運良く主任を拝命した。全社研修を終えて、私たちの部署に配属された新入社員は男女1名ずつで、男性社員の清水ケンシロウくんの教育担当につくことになったのだ。

どうやら藤くんは私が清水くんにかかりきりなのが気に入らないらしい。心配なんかしなくたっていいのに。それに、好意で彼を気にかけている訳ではないし、ただの仕事だ。

「ランチも一緒だし…デスクも隣だし…あいつなんかやらしい目で志保さんのこと見てますよ」
「一番いやらしい目で私のこと見てるの間違いなく藤くんだよ」

ちゅ、と頬にキスをしてやると、そっちでいいの?と甘く言う。可愛いやつめ。下唇を食んで、深く、キス。ちゃぷちゃぷと身体にまとわりつくお湯の音がうるさい。

「ふっ…ん、んん、」
「このエロい顔、絶対あいつに見せないでくださいね」
「こんなになるのは藤くんとキスした時だけだもん」
「……くっ…かわいいな」
「あ、硬くなった」
「そりゃなりますよ。ダメだ。もうベッド行きましょ。ね、」
「髪乾かしてからね」
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