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第9章 悪夢の実像
土曜日

営業時間がおわり



アイルはいつものように
3匹の犬を連れて散歩にでていた


元気になって散歩できるようになった
モコに微笑んで





『モコよかったね。たくさん遊んでね』




アイルの笑顔にはもうひとつ理由がある


家で待つリョウキのことを考えていた




〃お夕飯…リョウキは

何が食べたいかな…

帰る前に…聞こうかな〃





河原に降りると
犬たちを放して走らせる



『sit…stay…。いい子だね。Go!』



犬たちが嬉しそうに走り回り
アイルはいつものように
一緒に走り回っていた



少しの間、河原の端で休むアイルに
モコが寄ってきた



『モコ…。ヘヘ…
早く帰ろうとしてるのバレたのかな?
ごめんごめん』



アイルは立ち上がって
ボールやフリスビーを投げはじめた




『マロン!上手だよ~!』



『モコ…これとってきて?…Go!』





アイルの投げたフリスビーが
偶然吹いた風で川のそばまで飛んでいく



『あっ…』




〃いけないっ…。ふっとんじゃった…

……リョーキみたい(笑)〃




モコが必死に追いかけていく



川の近くは危ない




アイルは荷物とリードをそのまま放り出して
急いでモコを追いかけた




『?…』



フリスビーの落ちた先…川沿いの木の陰に
大きな黒いバンが1台停まっていた




〃車…いたんだ。珍しい…

エンジン切ってくれないかなぁ…〃





排気ガスを気にしたアイルは
走ってモコについていく








ガチャ…





運転席から人が降りてきて
フリスビーを拾いあげていると


追い付いたモコが必死に跳び上がって
フリスビーをとろうとしていた








〃あ~~しまった…!〃






『す…すみませ~ん・・・』




アイルは急いで駆け寄り
車から出てきた男の人に声をかける





『ハァ…ハァ…モコ、stop!

…ごめんなさい!…ありがとうござ……』









男が振り向いた途端







アイルの顔が…身体が








刃物で心臓を刺されたかのように




一瞬で凍りついた。








『………!?』






〃……う…そ……〃
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