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第9章 悪夢の実像
『っっ…!!・・・ゃ・・・っ…』



『~…つかまえた』



セイゴが反対の手で掴んでいたモコを
おもむろに地面に落とす。




モコがアイルにすり寄って
心配そうにアイルを見上げた。







『モ…コ…行って。モコ・・・Go…っ』





モコが走り出すとセイゴは
アイルの手に更に力を込めて引き寄せる。









『ゃっ…!…ぃや・・・・!』








『やっと二人きりになれたね

随分とガードが硬いんだ

待ちくたびれたよ』









『っっ・・・!~っっ・・・!!』





アイルはセイゴを見ずに必死に

ひたすら捕まれた手を
振りほどこうと引き返すが

どうしたって男の力には及ばない。









『…声も出ない?
久しぶりだもんねぇ…

もっと良く顔をみせてよ?
少し…大人っぽくなったかな?

ホラ・・・アイル、外は暑い
こっちでゆっくりお話しよう…』









『いや・・・っ…!!』



セイゴが車のドアを開けて
アイルを無理矢理引き込もうとする。




アイルは精一杯
体重をうしろにかけて
拒否し続けた。






バシ・・・ッ・・・・!!!






セイゴがアイルを思い切り平手打ちして


よろけたアイルの体が
シートを倒して広くなった後部座席に
投げ出された





『っっ!…』




怯みながらも逃れようと起き上がるアイルに





バシッ・・・!!




セイゴが再度、平手打ちする。



顔は不気味におっとりと笑ったままで。




ガチャ…。





ドアが閉められてロックされた。



自然と後退りしてアイルは体を縮める。


車内にひんやりとした空気が漂う。


アイルの口の中が切れて血の味がしてきた。




こいつは狂っている…
まともな話など通用しない…




それをアイルは
身をもって知っているのだ




『~犬の方がよっぽど聞き分けがいいよ?

アイルは昔から…俺の言うことを
ちっとも聞かなかったね

今度こそ、しつけてあげないとね…
しっかりと・・・・・・・』





セイゴがにじり寄って
アイルの肩を掴んで押し倒し
いきなり馬乗りになる





『ゃぁぁっ・・・!いや・・・・っ!!』





〃いやだ!…いやだ!

もう絶対に・・・いやだ!〃
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