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仮初めの恋人
第2章 私のフィアンセ~摂津凪子の依頼~
「母と会って貰いたいの」と言った時の幸二朗は確実に困惑していた。
面倒なことになった、そう思っているのが伝わってきた。

そう、思っていた。

凪子はもう一度あの時の幸二朗の顔を思い出しみる。

しかしあれだけ鮮明に覚えていたつもりが、いくら記憶の糸を辿ってもはっきりと思い出せなかった。

『凪子さんがそう思ってるだけなんじゃないの?』

あのいい加減でセックスだけ巧い男の言葉が心に絡みついてくる。

凪子はスマホを取り出し、まだ消していなかった『里見幸二朗』のアドレスを開く。

『ご無沙汰してます。摂津凪子です。一度お会いしてお話しできないでしょうか?』

悩んだあげく、別れた男に送るメールだから敬語で綴って送信した。

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