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仮初めの恋人
第2章 私のフィアンセ~摂津凪子の依頼~
「ハズレ。正解は仕事とか関係なくもう一回凪子とセックスしたいな、でした」
「は、はぁああ!?」

あまり乗客がいない電車だが、公の場で言うようなことじゃないことを言われ、凪子の頭にカッと血が上る。

「さっきの気の強い女だとかいう言葉は、凪子が自分で自分のことをそう思ってるだけなんじゃないのか?」
「なに偉そうに……心理学者にでもなったつもりな訳?」
「あー、怒っちゃった? これはセックスは無理かな?」

軽口を叩く男をキッと睨みつける。

「あんまり思い込みで決めつけないで、もうちょっと相手と話し合ってみたら?」

電車のアナウンスが次の駅に到着することを告げると、男は立ち上がった。

「せっかく遠出したんで俺は途中下車してぶらぶらして帰るんで」
「そう。どうぞご自由に」

凪子は彼を見もせずに答える。

「幸二朗さん、お母さんに会って欲しいって言った時、本当に迷惑に感じたのかな?」

ぼそっと一言残して、男は立ち去っていった。


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