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第3章 初めての彼氏～郁野真莉の依頼～

時計の針が正午を指すと若い社員達は立ち上がり昼食に向かう。

レストランに行く者、カフェランチをする者、お弁当を買ってくる者。
男女入り乱れたそれぞれのグループに分かれてオフィスから散っていく。

そんな中で郁野真莉（いくのまり）だけは若手社員の中で一人、仕事をしている。
そして彼ら彼女らがいなくなってから片付けを始め、一人で食事に向かうのが日課になっていた。

真莉にはほとんど親しい友人がいない。
それは小学生の頃から続いてる負の連鎖のようなものであった。

決して太っているわけではないが、少しぽっちゃりした体型と色白で童顔、そして少しどんくさいという理由で、意地の悪い男子から『子豚ちゃん』という不名誉なあだ名をつけられたことが始まりだった。

ニュースでたまに取り上げられる自殺に追い込まれるほどのイジメではなかったが、それなりに迫害を受けた。