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第3章 初めての彼氏～郁野真莉の依頼～

一人暮らしの部屋に戻ると買ってきたお弁当とサラダを広げて食事を済ませる。
繁田に言った用事というのも、もちろんない。

食後にパソコンを立ち上げ、ここ数日いつも見ているサイトを開いた。

『仮初めの恋人』

それは彼氏をレンタルできるサイトのようだった。
三十歳を目前に、真莉も焦っていた。
人生で一度も彼氏がいなかったことに不安を感じる。

それは結婚できないんじゃないかとか、子供を産めないんじゃないかなどという次元の不安ではなかった。

『このまま一生、恋なんて出来ないで死んでいくんだろうか？』

そのレベルでの不安である。

真莉にも普通にデートして、彼氏といちゃいちゃしてみたいという願望はあった。
それはもはやアニメや小説、漫画の中にしかない非現実的なものにしか思えない。