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仮初めの恋人
第3章 初めての彼氏~郁野真莉の依頼~
連絡通りに濃紺のブレザーに白とブルーのストライプのシャツ、白いスラックスを穿いた男が真莉の方を見て小さく手を振っていた。

待たせてしまっていたという罪悪感から真莉は急ぎ足で彼の元に行く。

「ごめんなさい、お待たせしてしまって」
「別にそんなこと気にすんなって」

少しぶっきらぼうでもその裏に優しさが溢れている。
それが真莉の希望の性格だった。

改めてその顔を見詰め、秋希を確認する。

大きくて涼しげな目許は本家秋希より鋭さが足りない気もするが、充分に魅力的だ。
逆にどこか物憂げなところは本家よりも強い感じがする。

「何ジロジロ見てるんだよ」
「あっ……ごめんなさいっ……」

恋人などいたことがない真莉は自分の取る行動に自信が持てず、萎縮したように謝ってしまう。

「真莉、顔上げて」
「は、はいっ……」
「何でもないことで俺に謝るな。今度謝ったらキスするからな、人前で」
「ッッ……」

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