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仮初めの恋人
第3章 初めての彼氏~郁野真莉の依頼~
台本すら渡されずぶっつけ本番で劇をしているようなものだった。
どうしていいのか分からず、あたふたしてしまう。

そんな真莉の戸惑いに気付いたのか、秋希はぽんぽんと頭を撫でてくれた。

「とにかく今日は愉しんで。わかった?」
「は、はいっ……」
「したいようにして。何も無理しなくていいし。だって俺たち付き合ってるんだから」
「そ、そういうものなんですね……」

よく分からなかったが、とにかくしたいようにすればいいということは理解できた。
秋希は諭し方すら甘くて優雅で優しい。

あり得ないほどのイケメン彼氏が目の前に現れ、緊張すると同時に、心がときめいた。

これは仮想体験というよりも夢の世界だな、なんてことを考えていた。



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