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安田博の性犯罪録
第1章 女子大生・吉田さやか 1
安田はコーヒー店からターゲットを注意深く観察していた。
ここからは駅から出る人間をすべて観察することができる。

その女は、一件見たところ高校生くらいに見えた。
白い無地のTシャツに薄手の紺色のカーディガン。下はジーンズの短パン。
肩くらいのまっすぐの黒髪で色が白く、銀のフレームのメガネをかけていた。

そうそうこれくらい地味な女がいい…

安田はカバンの中身を確認した。必要なものは揃っている。
心臓の鼓動が早くなっているのを感じる。これは興奮からなのか緊張からなのか。
家に着く前にターゲットに気付かれるわけにはいかない。
心臓の鼓動など感づかれるわけはないことはわかってはいたが、
安田は、平静平穏を装って席をたった。

ターゲットは携帯電話に目を落としている。
安田はその後を怪しまれないように少し距離を保ちながら尾行していた。
後ろからターゲットを凝視する。
ジーンズの短パンから伸びる白くて細い足が動くのを見るたび、安田は興奮を覚えた。
そうだ、8年間も禁欲生活を続けていたのだ。安田はこの禁欲生活のうっ憤を最初のターゲットにぶつけることを決めていた。

2つほど角を曲がったあと、安田のターゲットは2階建ての灰色のアパートに入った。
安田の位置から女が2階の角の部屋に行くのが見える。
よし、オートロックじゃない。普通のボロいアパートだ。安田は心の中でガッツポーズをした。
オートロックのマンションなら少々侵入するのに骨を折る。
そもそもオートロックのマンションに入れるほど金を持っていないのか。
金のほうは期待しないほうがよさそうだ。安田は思った。

さて、問題はどうやって侵入するか、だ。
セールスを装っても開けてもらえない可能性がある。
ドアが施錠されていて、開けてもらえなければどうしようもない。
ここはアパートの管理会社を装うのがいい。管理会社の名前は入口にご丁寧に書いてある。
理由は・・・何でもいい。下の階から水漏れしたと苦情があったとか、
そういうのでいい。ドアを一度あけてさえしまえばこちらのものだ。

安田は大きく深呼吸してアパートの二階の角部屋に向かった。
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