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第34章 きっかけ

ランチに行き、事務所に帰って来たら座っている人を紹介された

彼女は田中さん

海人と同じクラスの女の子の母だった

聞けば館長の娘も同じクラスらしい

館長は、田中さんには事務仕事を頼んで私は助手にしたいらしい

慌ただしい１日が終わった

帰ろうと、外に出ると、雨が降りだしていた

走れば5分

ザアザアと降る雨を見ながら走ることに決めた

走り出した瞬間

車が停まり、傘が差し出されている


「みーちゃん、送るよ？」


館長に傘を差し出されて、無理やり車に乗せられていく

タオルで髪を拭かれて、目が合うと勝手に涙が流れていく


「どうした？」


家に帰れば健人の詰問があるだろう

かごから出してもらえなくなるかもしれない

苦しい気持ちが入り雑じり優しくされて、涙が溢れていく


「みーちゃん？

みーちゃんが幸せなら、こんなに苦しくならないのに。。。？」


優しくタオルで拭かれていくと、体が反応してしまう

タオルから手が離れて私の頬をさわる


「健人は、優しくしてくれる？」


「っ。。。」


泣きながら館長を見る


「っ。。。


ごめんなさい。。。」


車から飛び出すと走り出していた



キスはしない。。。



わかっている

キスしてしまったら、壊れてしまう

キスして欲しかった

抱きしめて欲しかった

雨に濡れながら走る

玄関に入って行くと、驚いた健人がタオルを渡してくる


「電話したよ？」


働き始めた今朝、携帯を渡された

監視するため。。。だろう


「ごめんなさい。。。

一気に走ってきたから

気づかなかったよ？」


笑いながら見ると、タオルで拭かれていく


「お風呂、入って来いよ。。。

風邪ひくよ。。。」


「そうだね

ごめんなさい。。。」


健人の私を疑う目が私を見る


「風邪ひくよ。。。？」


タオルを渡されると、シャワーを出して温めているのがわかる

健人は、優しい。。。

でも、ふれたいとさわられたいと感じたのは

初めてだった


あの人とキスしてしまったら、もう戻れないだろう。。。


蕩けそうになってみたい。。。


シャワーで全てを洗い流していく

本当に全てが水に流れたらいいのに。。。