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第5章 偶然

土曜日、日曜日と過ぎた

樹は、離れたベッドをチラリと見て、ソファーで毎日寝ているようだ

気にしない。。。

もう、旦那に期待するのはやめたんだから。。。

自分だけの空間は安心する

月曜日、図書館は休みだ

朝、樹が出かけて行く気配はした

朝食は支度しなかった

私にも、プライドはある

意地もある

これは、戦いだ。。。

折れて、謝った方が負け。。。

別れたいと口に出した方が負け。。。

結婚生活を続けるのも、終わりにするのも、負けた方が口にした時だ。。。

晩御飯は支度する

掃除も洗濯もする

妻の仕事はする

でも、帰りは待たない。。。

自分のスペースで過ごして、顔も見ない時間が過ぎる

ここまで、するのは初めてだった

どうしても許せないことはある。。。

所詮、夫婦は他人だ

もとは別々なんだから

今日も仕事で遅くなるんだろう。。。

気にしない

待たないことは、気持ちが楽だ

今まで、毎日何時に帰るか気になりイライラした

待たないって決めたら、家事が終わったら全ての時間は自由時間だ。。。

ゲームしたり、マンガを読んだり、音楽を聞いたりできる

全てが、自由だったはずなのに、自由じゃなかった時間を思い出していく

愛のない結婚生活は空虚だ

空っぽ。。。

スカスカだ

中身がない。。。

待たないことが、こんなに自由だったなんて、知らなかった

逆に誰も、待っていない家に帰ることが寂しいことだと、あの旦那は気づくだろうか。。。？

旦那の気持ちを考えるのは止めよう。。。

私の気持ちがぐらつく

だって、私は旦那を許せない。。。

もう、無理だ。。。

まずは、就職活動しなくては。。。

寿退社なんてするんじゃなかった

今更、再就職するのは、大変だ

でも、もしも離婚したら、経済力は必要だ


私からは、絶対に口にしない。。。

離婚。。。

口にした方が負け。。。

口にした方が、引きずるし傷つく

傷つきたくない私と樹の戦いだ

ズルい私と、樹のかけひきだ

私の結論は決まっている

それに向けて準備しないと。。。

感情だけでは、決められない

仕事。。。捜さないと。。。