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輪廻 ∞繰り返されるループ∞
第5章 4月4日
老人は1人話を切り上げ、バーテンダーにカクテルをオーダーする。
ピンク色の鮮やかなカクテルが出され、それを俺に傾ける。
俺は、飲み掛けのグラスを手に取ったが、どうしても気になることを尋ねてみた。
「あの、heavenという薬をご存知ですか?」
「いや、知らないな。
鎖は断ち切らねば、己の輪に絡まる。
断ち切られた鎖は、その役目を終える。
自分の目で見て、自分の耳を傾けろ。
今日はとても有意義だったよ。」
謎かけのような言葉を残し、呆気にとられている俺のグラスにグラスをぶつけ、
「悠都君に乾杯。」
俺が合わせて言うタイミングもないまま、一気にグラスを空けて立ち上がり、そのままカウンターから離れて、エレベーターに向かってしまった。