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囚われの天使たち
第3章 拉致(2)

もう1人は、少し肉の張った女の子だった。と言っても、太っているわけではない。胸や尻、太ももに、張りがあるのだ。髪は短く切っていて、眼鏡をかけている。少し話し声が聞こえるが、聞いていると、色白の女の子が弱々しい声で話すのに対して、眼鏡の女の子は、自分のことを「俺」と呼んだり語尾を「だぜ」で締めたりしている。かなり気の強い女の子らしい。

「あの2人を連れてこい」

と、男は言って、懐から懐中時計を出した。

「30秒以内に連れてこられなかった場合、それから逃げた場合には、電流を流すから覚悟しておけよ」

「はい!」

「はじめ」

男は懐中時計のボタンを押すと同時に、その場に倒れ込んだ。

奈津子は公園に向けて走った。30秒以内に連れてこなければ、電流を流されてしまう。急がないといけない。そればかりを考えながら。

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