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第13章 テッペイ(33)②

　玄関の外にテッペイの財布が
　落ちていたことに
　ワタシが気付いたのは、
　かいとと松戸がやっとの思いで
　タクシーを捕まえ、やっとの思いで運び出し、
　帰らせたあとのことだったわ。



　ワタシはテッペイの財布を拾った事を、
　かいとには黙っていたわ。


　松戸とは玄関先で顔を合わせたけど、
　かいとも松戸もテッペイのことで必死で、
　会話する暇もなかった。



　テッペイの財布には、
　グチャグチャのレシートが数枚、
　現金2万8千円ちょっとと、
　クレジットカードが1枚、
　ドラッグストアのポイントカードが数枚、
　コンドームが1枚、
　運転免許証と…
　それから、予備用だと思われる名刺が1枚、入っていたの。



　
　
　テッペイの会社に電話をしたのは、　
　かいとの連休明けの月曜日。



　財布を拾った、と言ったら。
　会社の人間は、いとも簡単にテッペイに電話を繋げてくれたわ。