この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕は、ヱッチな小説を書キてゐゑ
第9章 コンテスト受賞作の作り方
仮面をかぶろう。
変な奴と呼ばれないようにしよう。
みんなが同じ言葉を話せばだれもが安心するんだよ。
でも、ぐるぐるぐるぐる。
頭の中の言葉はどうやって捨てればいいの。
ご本を読めばいいんだよ。
ご本の中には言葉だけがある。
ご本の中の人たちは僕を嗤わない。叩かない。
それどころか勇気づけてくれる。励ましてくれる。笑わせてくれる。
ご本の中の人たちが僕に流させる涙は苦痛とは違う。
僕は本にのめり込む。
もしかしたら、この中には正しい言葉があるのかもしれない。
よく探せば見つかるのかもしれない。
だって、こんなに言葉が並んでいるんだもの!
きっと見つかるはずだよ。
もし勇気があれば。
言葉を捨てずに、ご本の中の人のように誰かを勇気づけたり、励ましたり、笑わせることができる。
ご本の中の人のように、自分のためじゃなくて、誰かの為に涙を流すような人に。
ご本の中の人のように、自分のためじゃなくて、誰かの為に怒りを露わにするような人に。
いつか僕も、なれるのかな。
もし勇気があれば。
言葉を知っていれば。
せんせいやめてっていうことができていたなら。
せんせいはモンスターなんだっていうことができたなら。
痛み、苦しみ、優しい笑顔。女の人。
その境界はいつも曖昧で、常にひとつの塊のようになって。
僕に、訪れていたんだ。