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仕事終わりは癒しの時間
第8章 成人男子の胸の内
その日は、身体の芯から凍える寒さで雪が降っていた。
2月から行うツアーの大まかな打ち合わせを行い、軽い練習が終わってから、ちょっと飲んて帰ろうと思い、行きつけのバーに向かった。
その店の前でスーツ姿の女性が三角座りをしていた。
店の前で、しかもこんな寒い中座っている女性は少し気味が悪かった。
でも何もせずに翌日の新聞に載ると後味が悪いので、声をかけることにした。
「どうしたんですか?」
声をかけると、ピクリと反応して顔を上げた。
「あっ…」
それはバーに行く度に見かけていた彼女だった。
「お嬢さんどうしたん?こんなとこで…」
「…違う、お嬢さんって言わないで!」
なんか、機嫌悪い?
酔ってるし…。
「あー、お姉さん…ね。何してるん?お店に入ればい…」
突然、彼女に抱き着かれた。
どのくらい座っていたのか、身体はかなり冷えていた。
「冷た!な、何!?」
「さ…寒い」
「当たり前やん!こんな寒いのに、店の前で座り込んで。お店入ろ?」
「お店、迷惑掛けたから…無理…お願い…一緒に居て。寂しいから」
潤んだ瞳で見上げられると、俺弱いんやけど…。