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霞草
第9章 無知
夕食ができたと声がかかり、食卓につく。
食卓には週末に摘んだ野花はなくなり、僕の部屋と同じく霞草だけが飾られていた。
「夕食にはわかるって何?」
「また、ケーキのプレゼントをいただいたのよ。最近もてるでしょう。」
おばさんが笑う。
「街に行ったの?」
「花屋の注文を急に頼まれて、配達に行ってもらったんだよ。」
「そうなんだ。バス停で会わなかったね。」
「ケーキを持ってたからね、あまり待たずに来たバスに乗ったんだ。」
僕も差し障りのない答えをする。
「お母さんへのプレゼントなの?」
「この前、美味しいって皆で喜んでたから、せっかく街にでたからとね。」
「毎日通るのに、あれからちっとも買ってこない娘は誰だぁ?」
最後の夕食もいつものように楽しい団欒。
ケーキを皆で味わった。