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霞草
第9章 無知
翌朝、学校に行く霞を見送って、おじさん、おばさんに挨拶する。
昨日話すつもりが、霞がいて言い出せず、急になったことをお詫びした。
おじさんは驚いたが、
「いつまでも引き留めてはいけないね。」
と、おばさんは、
「せめて昼食までいて欲しい。朝まで何も知らずに大したご馳走もできなかったから…」
最後まで甘えて昼食後に出ることにした。
午前中、荷造りをする。
増えたのは珈琲カップと霞草、ドライフラワーが崩れないように、おばさんが箱を用意してくれた。
おじさんは、しばらく保つからと、畑からたくさんの花を大きな花束にしてくれる。
昼食前に、最後に収穫を手伝うように言われ、汗をかいただろうと風呂まで勧められた。
おじさん達も最後まで世話したいのだろうか。
別離が惜しくなるが、敢えて甘えることにした。
「結局、大したご馳走にならなかったわね。」
おばさんが苦笑する。
「自分で育てた獲れたての野菜だぞ。こんなご馳走はないだろうが。」
おじさんが笑う。
「そこまで言い切れるおじさんが凄いです。」
僕の一言に皆で笑って食べた。
泣かないように楽しい話題を見つけて食事を終えた。