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霞草
第3章 新天地
「つまり君は、未成年だと思うんだが、しばらく居たいって話をかみさんから聞いて、
事情は知らんが、家出でも構わんのだが、
捜されてるのに隠まってるってのは、同じ親として心傷むわけで、
そこが気になってな。
居場所を教えちまったら、家出じゃなくなるし、
ほとぼり冷めたら、元気だって連絡してやれよ。
それが泊まってもらう条件だ。いいか?」
真剣な表情の主に、頭を下げて、
「わかりました。」
と答えた。
「あと、見てのとおり家族だけでやってるから、他の客がきたら忙しくなる。
基本、夕食以外は食堂だ。
一人のうちは持ってくが、まあ他人に会うのがいやなら、自分で部屋に持っていってもいいぞ。
ゆっくりしていきな。」
僕は主の温かさに触れて目頭が熱くなってきたが、ぐっとこらえて、
「すいません。ありがとうございます。」
と言うのが精一杯だった。
「じゃ、まだ仕事あるから、食べたら向こうに運んでおいてくれ。」
僕が泣きそうなのに気づいたのか、主は食堂から出て行った。