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霞草
第3章 新天地
「ありがとうございます。」
僕は階下にいく。
玄関から入ってきた主は、僕を食堂に案内してくれた。
「突然だから今日はこんなもんで勘弁してくれな。」
味噌汁とおにぎりと焼き魚が出された。
「採れたての野菜は旨いぞ、先に食べ始めてな。」
主は籠を見せてくれて調理場にいく。
おにぎりなんて久しぶりだな。
主は菜の花を茹でて持ってきた。
「まずはそのまま食ってみろ。まあ、後は辛し醤油でもいいが。」
言われるままに食べる。
「美味しい。」
思わず口から出た言葉。
母の作る料理が不味い訳ではないが、ここ1.2年ゆっくり味わうことが無かったのだ。
食事をしながら、成績やら志望校をどこにするのか、気まずい思いでそそくさと食べ、部屋に逃げていたから。
「本当に美味しいです。」
僕は噛み締めながら言った。
「そうか、良かった。まあ、食べながら聞いてくれ。」
主は僕の目を見て話し出したが、続きはワザと視線を外した。
「坊主、いや、うちにも同じくらいの子供がいるんでそう呼ばせてくれ」
僕は頷いた。