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霞草
第4章 出逢い
広くないスペースに草花が生えていて、太陽の光がちょうど辺りを照らしていた。
多分、最初にサイクリングした街が眼下に見える。他の山との裾野の先に…。
「すごく見晴らしのいい所だね。」
「そう、ここから見ると街がちっぽけに見えるでしょ。」
彼女は答える。
本当にそうだ。
僕の挫折、それをくよくよ考え、兄貴と比較し、父に反発している小さな自分。
自分では限りある時間をさらに細かくして一生懸命やっていたつもりの受験生活。
「がむしゃらに生きている僕は、ちっぽけでまるで蟻みたいだな。」
僕は草むらに横になり、空を見上げた。
青く澄んだ空、眩しい陽、光を遮るふりをして腕で目を隠した。
本当は溢れてきた涙を隠したかったのだ。
彼女は、
「気持ちよさそう。」
と言って僕の隣に寝転んだ。
きっと僕の涙に気づき、気づかないふりをして、互いが視界に入らないように気遣ってくれたのだろう。
彼女の優しさに触れて、僕は静かに涙した。