この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
霞草
第4章 出逢い
「うん、帰ったらすぐ話すね。
あと、嫌でなければ、うちの家族と一緒に食事しない?
一人の方がよければ無理にはすすめないけど…」
僕は霞と温かい両親のことをもっと知りたいと思った。
うちは、親戚付き合い以外は閉鎖的で、よその家庭を知ることもなかったし、温かい家族に囲まれたいと思った。
「じゃあ今晩からお願いします。」
「良かった。一人、部屋で食事するなんて寂しいもの。来た時からずっと気になってたの。」
僕は一目で彼女の虜になった。
彼女は僕が来た時から気にかけてくれていた。
嬉しかった。
でも、彼女と顔を合わせたのは今日が初めてで、
彼女が気にかけてくれているのは、お客として、閉じこもっている僕だ。
それ以上でない。
自分に言い聞かせた。
先のない恋心にブレーキをかけたのだ。
おかみさんが弁当を作ってくれたようで、彼女が持っていた荷物はそれだった。
見晴らしの良いこの場所で昼ご飯となった。
僕は、まだ自分のことを全て話す勇気がなく、
旅に出ようと思ったところから、ここにたどり着いた経緯までを話した。
彼女は僕の目を見て話を聞いていた。