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霞草
第6章 二人の想い
答えの出ない葛藤をしまい、今、彼女と一緒にいる時間を精一杯大事にしよう。
そう思い直した。
「ねぇ、霞の家、どっちの方?あの山でいいのかな。」
僕は指差した。
「当たり。
家はね、分からないけど、最初にお昼食べた、街を見下ろせる場所はね。分かると思うよ。」
霞は、山の形などを指差し説明しながら教えてくれた。
「山の8合目くらいかな。あんな高い所に居るんだね。」
僕の言葉に霞は笑っていた。
「他にお薦めの場所はある?」
「うーん、ないかな。
駅まで戻りながら、あなたが気になる所があったら寄ってみる?」
「そうだね。」
帰りは下りだし、せっかくだから霞が前に乗ることを提案した。
霞も喜んだ。
「じゃあ、寄りたい所あったら言ってね。」
僕達は自転車に乗る。
坂を下る、前からの風が霞の香りを伝える。
霞は、はしゃいでいた。途中、清水が湧き出てできた池に寄った。
看板には『二人の心をうつす鏡の泉』などとキャッチコピーがあった。
ちょっと周りより高くなっていて階段がかなりある。
僕は霞の手を引いて階段を上る。