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霞草
第7章 すれ違い
周りの景色は、霞が話していたように、種々の花々が咲き乱れ、来た時とだいぶ変わり、美しい季節を迎えた。
そして週末には、景色を楽しむ宿泊客が訪れるため、一日中、霞と出掛けることは、ほとんど出来なかった。
それでも、二人で近くを散歩しては、季節の変化を楽しんでいた。
ごく当たり前の生活ではあったけれど、霞の家族に溶け込めたようで、充実していた。
霞は、街の花屋に霞草を届ける仕事を任されていて、僕もそれに付き合った。
霞が花屋にいくと、どの店でも、
「霞草の霞ちゃんがきた。」
と店主に呼ばれる。
何か違和感がある。
霞ちゃんと、そのまま、名前を呼べばいいのに…
ただ、その時は、それ以上気にせず、違和感は忘れてしまった。
帰りのバスに乗りながら、約束の計画を話し、
すぐにおじさんに頼み、ゴールデンウィークの忙しい時期に一日自由にさせてもらうことにした。
その日から、僕は約束のデートの計画を考えていた。
この街にきて、最初にもらった観光マップをみて、寄ってみたい所をピックアップした。
霞に案内してもらえばいいのだが、自分でも準備したかった。