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霞草
第2章 旅立ち
やはり、観光地だった。
今日の残りの時間は、旅行気分で過ごそう。
場違いな自分が家出人だと指差されている気がして、
コインロッカーに荷物を預け、観光マップを手に入れた。
レンタルサイクリングの看板を見つけたので、
自転車を借りることにした。
暇があると、頭の中がぐるぐるして混乱する。
体を動かしている方がいいだろうと、とっさに思ったのだ。
マップからいくつかのポイントを選び、見てまわる。
なるべく自然な場所、人工的でないところを選んだが、
景色はいいものの、あちこちにカップルがいる。
今頃遊んでいられるのはきっと大学生なんだろうな‥
運に任せると思いながらも、
幸先よくない、ツイてないじゃないか…と苦笑した。
夕方になり、荷物を取りに駅に戻る。
今夜の宿は駅近くで探した方がいいな。
若者向けのデートスポットだからか、手頃なホテルや旅館がない。
あるのは、カップル向けのペンションばかりだった。
なるべく地味でこじんまりしたペンションを選び、予約せずに泊まれるか尋ねる。