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霞草
第8章 別離
少しずつここを去る準備はしているが、いざ今日、明日と決める勇気はない。
翌週も僕は畑仕事を手伝っていた。

「坊主、だいぶ畑に慣れたな。日に焼けて健康そうになった。
来た時、部屋に閉じこもってたときとは大違いだな。」

おじさんが休憩中に言う。

「耕すところから育てた野菜を見るのは楽しいですね。」

「そうか、気に入ったか?うちの息子の代わりに宿屋継ぐか?」

「ずっとここにいたいんですが、それじゃあ行方不明者になっちゃいます。」

「ハハッそうだな…、親の気持ち考えろなんて言っといて引き留めちゃいけないな。

娘に山ん中で友達もいない寂しい思いをさせてしまったと思ってたところに坊主がきて、あいつが明るくなったから、ついつい欲がでちまったな。」

「帰る時のお願いなんですが、霞がいない時にこっそり帰ろうと思っているんです。」

「ぼちぼち帰るのか?」

「まだ日は決めてませんが帰ると言えなくて…」

「そうだな、せっかく慣れてきたのにな。わかった、俺達でどうにか説明するよ。」

「あと少しお世話になります。」

「あんまりしんみりするな、なんだか引き留めたくなるだろ。」

おじさんは僕の肩をぽんぽんと叩く。
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