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Sな彼女
第9章 交流

……症状。
症状と言われれば、そうかもしれない。
しかし、一つのモノに目が離せなくなるのは、俺にとっていわば発作みたいなものだ。
普通は俺がこんなことになったら、一緒に居た人間は驚いて、俺を持て余してしまう。
気まずさと不自然な空気が漂うだけだ。
握られた手に力が入った。
岬は心配している。
それが分かると、バラを見つめた目に涙が滲んできた。
するとバラの色が変わってしまい、俺は息を吐いて瞬きをすることが出来た。
涙が一粒、地面に落ちた。
彼女は何も言わず、手を繋いだまま二人でその場から移動した。
涙のおかげで、どうにかバラから視線を外すことが出来た俺は、彼女と一緒に公園のベンチに腰掛けた。

