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第15章 恋敵

　ファソンは手で制した。

「そのような堅苦しい挨拶は要らぬ」

「はっ、真に申し訳ございま―」


　王妃の機嫌を損じたと勘違いした凜蓮が蒼褪める。綺麗に紅を塗った唇がかすかに戦慄いた。


―これでは側妾をいびっている正妻そのものだわ。


　昔、〝曺さんの本屋〟で借りて読んだ小説にこんな場面があったことをぼんやりと思い出す。