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傘の雨
第2章 2.空が海
………—————

気づいた時には俺の世界にはあなたしかいなかった。

あなたから初めてもらったプレゼントはうさぎのぬいぐるみ。

そのぬいぐるみ、いまだに大事に持っていて、どこに行くにも一緒だった。

ファンの間ではすっかりお馴染みのうさぎ。

この前の海外公演の時、空港写真でジッキが居ないって騒がれたくらい。

10歳の歳の差は大きくて、いつまで経っても子供扱い。
いつになったら、俺を男としてみてくれるの?

※※※

スーツケースを無理矢理閉めて、あとは…と部屋を見回した時にドアがノックされた。

どうぞというと静かにドアが開く。

「…仕事終わったの?珍しいね」

スーツ姿の愛しい人は眉をひそめて立ったまま。

「るー?」

名前を呼んで見るけれど、返事はない。

「どうしたの?」

「いつ…いくの?」

あー…まだ言ってなかったわ。

「今週の土曜日」

「なんで?」

早く大人になりたいからに決まってんじゃん。

「15になったら行っていいって約束だったから」

結鶴をベッドに座らせて、俺はその向かいに座る。

去年、姉の藍と結鶴と出かけた先でスカウトされた。

纏まった休みには渡韓して練習生としてダンスや歌を覚えた。

オンラインでレッスンを受けたりするうちにとことんやってみたくなって、親に相談したら15歳まではと約束させられた。

「…ハニ…昔から何でもすぐできちゃう子だったもんね…」

それはあなたが喜んでくれるから。





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