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淫の館
第2章 2回目の逢瀬
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2時間ほど掛けて約束の地へ向かう。
揺れる電車の中で私の心にもう迷いはなかった。
そして2回目となる今日は、待ち合わせではなく、直接、男の居る部屋に向かうように言われていた。
告げられた部屋に向かいインターホンを押す。
まるでドア越しに待っていたかのようなタイミングでドアが開き、中に引き入れられた。
掴まれた手首はすぐに離され、男は無言で部屋の中央にあるベッドに腰掛けた。
「これに着替えてください。下着は着けずに…」
ベッドに置かれていた箱を両手の上に乗せて渡された。
二度目の逢瀬について何か話題になるかと身構えたが、男はバスルームに続く洗面所を顎で示す。
「はい。」
とだけ答えて渡された箱を両手の上に乗せたまま、そこに向かった。
洗面台に箱を下ろし蓋を開ける。
白い浴衣だった。
「浴衣なら一人で着られるだろう。」
私は、また『はい。』と答えてバスルームに向かおうとした。
「シャワーは浴びなくていい。そのまま着替えなさい。」
振り返ったが男は見えない位置に移動したようで、声しかしない。
今まで『はい。』と答え続けた流れで拒絶出来なかった。
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