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銀木犀の香る寝屋であなたと
第8章 再会
「キヨ……さん、ではないですか?」
「え、ええ。キヨです」
「僕です。友の家の」
「え?あ、あの、あの時の」
「はい」
『友の家』に住み、柿を取っていたあの少年だった。彼は立派な姿で堂々とし姿勢よくまっすぐに珠子を見る。
「お久しぶりですね。立派になられて……」
「今度、高等学校に行くんです。奨学金が得られたので」
「そうなんですか」
少年はもうすっかり青年だ。珠子のことを覚えていたらしい。青年は「あっ」と声を出し珠子の後ろの方へ手を振った。
振り返ると二人の修道女が買い物かごを手に持ち近寄ってくる。
「よ、葉子かあさまっ」
珠子は驚いて手で口を隠し下を俯く。
「シスター。キヨさんですよ。いつかおイモをくださった」
「まあまあ。お礼が言えなくて……」
葉子が祈るような姿で珠子のそばに近づき、顔をあげた。
「!」
一瞬時が止まったように動きを止める葉子に、ゆっくりと珠子は手を下におろし彼女を見つめた。
「た、珠子さん!」
「葉子かあさま……」
葉子は珠子の両手を取り、ひしっと掴み愛し気に目をつむり「ああ、どうしてこんなところに」と呟いた。
青年は不思議そうな顔で二人を見比べ合っている。もう一人の修道女に「お知り合いだったようですね」と話しかけた。
「そのようですね」
若い修道女はにっこりと微笑み「私たちは先に参りましょう」と頭を下げて青年と立ち去った。
「え、ええ。キヨです」
「僕です。友の家の」
「え?あ、あの、あの時の」
「はい」
『友の家』に住み、柿を取っていたあの少年だった。彼は立派な姿で堂々とし姿勢よくまっすぐに珠子を見る。
「お久しぶりですね。立派になられて……」
「今度、高等学校に行くんです。奨学金が得られたので」
「そうなんですか」
少年はもうすっかり青年だ。珠子のことを覚えていたらしい。青年は「あっ」と声を出し珠子の後ろの方へ手を振った。
振り返ると二人の修道女が買い物かごを手に持ち近寄ってくる。
「よ、葉子かあさまっ」
珠子は驚いて手で口を隠し下を俯く。
「シスター。キヨさんですよ。いつかおイモをくださった」
「まあまあ。お礼が言えなくて……」
葉子が祈るような姿で珠子のそばに近づき、顔をあげた。
「!」
一瞬時が止まったように動きを止める葉子に、ゆっくりと珠子は手を下におろし彼女を見つめた。
「た、珠子さん!」
「葉子かあさま……」
葉子は珠子の両手を取り、ひしっと掴み愛し気に目をつむり「ああ、どうしてこんなところに」と呟いた。
青年は不思議そうな顔で二人を見比べ合っている。もう一人の修道女に「お知り合いだったようですね」と話しかけた。
「そのようですね」
若い修道女はにっこりと微笑み「私たちは先に参りましょう」と頭を下げて青年と立ち去った。