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銀木犀の香る寝屋であなたと
第1章 月夜の出会い
月に二度ほど、浩一は晴れた日の金曜日の夜に葉子の顔を見に来た。最初に言った通り、家の外で少し話し帰る日々が一年も経っていた。
葉子のほうも少しずつ打ち解けており、淡い好意を寄せるようになっていた。
そして、どうしてこのようなことを行うのだろうと疑問に思い、思いきって尋ねることにした。
「理由?」
「はい」
「好きになったから」
「え」
単純明快な答えに葉子はたじろぐ。
そして男が女に好意を寄せることは身体をつなぎたい要求が伴っているはずだとも思い、今までの浩一のそっと側にいるだけの様子に困惑した。
「変かな?」
「いえ、そんなことはないと思います。でも……」
「でも?」
「あの。どうして……触れようとなさらないのです?」
ふっと浩一は優しく笑んだ。
「葉子が私を好いてくれたら触れたいと思ってるよ」
「えっ」
自分の意思を尊重されることに葉子は驚く。今まで誰も気持ちを聞いてくれる人などいなかったからだ。
しかも男の要求を抗うことが出来る女など居るのだろうか。
「さて。そろそろ帰るよ」
「あ、はい」
「おやすみ」
「おやすみなさいませ」
こうしてまた一年が過ぎる。
葉子のほうも少しずつ打ち解けており、淡い好意を寄せるようになっていた。
そして、どうしてこのようなことを行うのだろうと疑問に思い、思いきって尋ねることにした。
「理由?」
「はい」
「好きになったから」
「え」
単純明快な答えに葉子はたじろぐ。
そして男が女に好意を寄せることは身体をつなぎたい要求が伴っているはずだとも思い、今までの浩一のそっと側にいるだけの様子に困惑した。
「変かな?」
「いえ、そんなことはないと思います。でも……」
「でも?」
「あの。どうして……触れようとなさらないのです?」
ふっと浩一は優しく笑んだ。
「葉子が私を好いてくれたら触れたいと思ってるよ」
「えっ」
自分の意思を尊重されることに葉子は驚く。今まで誰も気持ちを聞いてくれる人などいなかったからだ。
しかも男の要求を抗うことが出来る女など居るのだろうか。
「さて。そろそろ帰るよ」
「あ、はい」
「おやすみ」
「おやすみなさいませ」
こうしてまた一年が過ぎる。